J-heritageの企画にて、長崎市産業遺産視察勉強会を実施いたしました。当勉強会は、世界遺産化を目指している端島(通称:軍艦島 以下軍艦島)と閉山後、海外へ技術を発信続けている池島を巡り、産業遺産の産業遺産の歴史を知り価値を確認することを目的としています。
まずは軍艦島の様子をレポートいたします。
この日は天候にも恵まれ、参加者総勢39名が「軍艦島を世界遺産にする会」理事長の坂本道徳さんと、「軍艦島オデッセイ」で有名なオープロジェクトの黒沢永紀さんに軍艦島を案内していただきました。
今回の視察勉強会では長崎市より特別な許可を頂き、立ち入り禁止区域への視察が許可されました。今回掲載させて頂いている写真は全て特別な許可を頂き公開しております。
坂本さんはお父様のお仕事の関係で、小学生の時に軍艦島に移り住まれたそうです。そんな坂本さんの当時の生活の状況や、軍艦島での楽しみなど、当時の思い出を語りながら軍艦島を案内して下さいました。
軍艦島につくられた一つ一つの建物には特徴があり、その形が複雑且つ魅力的な景観を作り出しています。高く伸びる建造物は、高度成長期のエネルギーを象徴するかの様であり、この島が如何にこの場所で働く人達の希望であったかを伝えようとしていました。
黒沢さんには鉱山施設の建物や選鉱場など、主に鉱山遺構について解説いただきました。
当時と、今に紡ぐ二つの時間軸での興味深い解説には多くの参加者が耳を傾けていました。
お昼の小休憩を挟み、坂本さんは参加者を小中学校へと導き、問いかけられました。学校のいたる所に描かれた落書き、自分の母校が落書きだらけにされたら皆さんはどう思いますか?軍艦島は無くなった場所でも誰の思い出にも残らない廃墟でもなく、今もここに存在する島なのです。
そして、小中学校内の一室に残された軍艦島の模型の前で坂本さんは私達に伝えてくれました。
風に晒されボロボロになった模型。この姿が軍艦島の未来であり、日本の、世界の未来の姿であると坂本さんは仰ります。エネルギーに翻弄され、エネルギーを消費することだけを考えた時の世界の姿。私達は改めてこの島から多くの事を学び、この先の未来へと繋げていかなければいけないでしょう。
第2、第3の軍艦島を作らぬよう、人々の生活や想いが隔離される世界を作らぬよう、改めてこの島から多くの事を学び伝えて行く事が大事であると感じました。