長崎市産業遺産視察勉強会(池島編)

 続いて、池島をレポートいたします。

 

 軍艦島を後にした後、勉強会一行は今も生ける炭鉱の島・池島へと移動しました。当日の最終便のフェリーで向かう池島は夕焼けに染まり、美しい姿で迎えてくれました。

 池島へ到着後、炭鉱時代から営業している銭湯へ向かい、疲れを癒す一行。

 この日の夜は懇親会が開かれました。懇親会では、参加者の産業遺産に対する熱い想いなどが語られました。日頃から産業遺産にふれている方はもちろん、今回初めて産業遺産にふれた方もわけへだてなく親睦を深めました。

 翌日、本格的な池島炭鉱の見学。中央会館で池島炭鉱の歴史を知るビデオを見るところからスタートです。

 

 池島は1959年(昭和34年)から営業出炭を開始し、2001年(平成13年)に閉山。最盛期には7000人の人が島に暮らし、日本の高度成長期を支える礎として重責を担いました。

 

 そして、閉山後は東南アジアから研修生を受け入れ、採炭技術を伝えるだけではなく海外炭鉱開発にも積極的に関わるなど、その培った技術とノウハウを海外へと伝える発信地としての役割を最近まで担っていました。

 ここからは二班に分かれて行動。第二竪坑の女神像の前で記念撮影を撮ります。見学に訪れる人が必ず女神像と同じポーズを取るそうです。

 第二竪坑から普段入れないアパートへ案内して頂き、当時の生活の様子を見ました。

 アパート群を抜け、今度は第一竪坑へ。運搬の仕組みや、竪穴を見る事で、石炭の搬出の様子を知る事が出来ました。

 ここで午前の行動は終わり。中央会館に戻り、鉱員弁当を頂きました。当時の鉱員の方達が食べていた味に舌鼓。そして不思議とまた力が湧いてくる感じでした。

 食事も終わり、午後の見学は坑道見学。ここは普段の一般の方達も予約すれば見れるという事で、我々が訪れる前にも、別の方達が丁度坑道見学を終えて戻ってきている所でした。

 

 坑道へは鉱員用のトロッコで向かいます。

 坑道内では採炭に使われた道具や、採炭の様子を写真を用いて教えてくださいました。閉山給付金の話や、当時の鉱員の方々の待遇など、案内して下さった方達それぞれで内容が違っており、明るく楽しく過去を振り返りながら私達に教えてくれました。

 一時間半程で坑道の見学は終わりました。本当にたくさんのものをこれでもかというほど見せてくださいました。

 

 今回案内してくださったみなさん全てが、池島が好きだということが印象的でした。池島にお住まいの方にとって、楽しいことも、辛いことも全てが思い出となり、人生となっています。そのことを誇らしく語る皆さんからは、池島へ深い感謝とこれからの未来を守るという意志を感じました。

 

 池島にある優しさはきっと池島に人生を支げた人たちの想いであるのでしょう。

 

 池島には今回のような特別な許可がなくても訪れる事のできる場所がたくさんあります。ぜひ訪れて感じていただきたいと思います。

 

 

 2日間の及んだ視察勉強会。軍艦島では止まった時間から過ぎていく未来の行く末を。池島では止まった時間を再び未来へと動かす為の取り組みを見ました。

 

 どちらもこれからの日本や、世界へと発信する為の「未来」を見据えています。我々はその未来へのバトンをしっかりと先人達から学び繋いでいく事が大事であるという事を改めて学ぶ素晴らしい視察勉強会になりました。

 

 なお、今回掲載している写真は全て特別な許可をいただき公開しております。

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